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寝室の明るさや温度、音、寝具は、毎晩の眠りの環境そのものです。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(令和6年2月、健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会)には、「良質な睡眠のための環境づくりについて」という参考情報がまとめられています。
この記事では、そのガイドに書かれている環境づくりのポイントを、光・温度と入浴・音・寝衣と寝具の4つに分けて紹介します。ガイドの内容の紹介は、厚生労働省が公表しているガイド本文によるものです。後半の寝室の見直し方や、手持ちの道具の使い方は、この記事の提案です。体調や眠りに不安がある場合は、医療機関に相談してください。
※この記事は、睡眠の改善や病気の予防を約束するものではありません。
睡眠ガイド2023とは?
どんなガイド?
ガイドの冒頭では、「健康づくりのための睡眠指針2014」を見直し、「健康づくりのための睡眠ガイド2023」を策定した、と説明されています。大きな違いは、適正な睡眠時間と睡眠休養感の確保に向けた推奨事項を、「成人」「こども」「高齢者」と年代別にとりまとめた点だとされています。
成人の推奨事項
成人版の推奨事項には、次のように書かれています。
| 成人版の推奨事項(ガイド本文より) |
|---|
| 適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する |
| 食生活や運動等の生活習慣や寝室の睡眠環境等を見直して、睡眠休養感を高める |
| 睡眠の不調・睡眠休養感の低下がある場合は、生活習慣等の改善を図ることが重要であるが、病気が潜んでいる可能性にも留意する |
このように、寝室の睡眠環境を見直すことは、推奨事項の中にも含まれています。睡眠休養感とは、ガイドの中で睡眠の質を表す言葉として使われているもので、朝目覚めたときの睡眠休養感は、良い睡眠の指標となる、と書かれています。
寝床で過ごす時間について
ガイドでは、夜間の床上時間(寝床で過ごす時間)は、20〜30歳代では7時間程度ですが、45歳以上では徐々に増加し、75歳では7.5時間を超える傾向がある、と紹介されています。そのうえで、若い世代は床上時間の不足に伴い睡眠不足になりやすく、高齢世代では逆に必要な睡眠時間に比べ床上時間が過剰になりやすい、とされています。また、一晩に眠ることができる時間には限りがある、とも書かれています。寝室の環境を整えることとあわせて、寝床で過ごす時間の長さにも目を向けておくとよさそうです。
寝室の環境づくり4つのポイント
ガイドの「良質な睡眠のための環境づくりについて」では、次のポイントが挙げられています。
1. 光の環境
ポイントとして、「日中にできるだけ日光を浴びると、体内時計が調節されて入眠しやすくなる」「寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まず、できるだけ暗くして寝ることが良い睡眠につながる」と書かれています。
本文では、日中に光を多く浴びることで夜間のメラトニン分泌量が増加し、体内時計が調節され、入眠が促進されること、これらの効果は1,000ルクス以上の照度の光を日中に浴びることで得られることが紹介されています。また、就寝の約2時間前から睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が始まり、それ以降に照明やスマートフォンの強い光を浴びると、メラトニンの分泌が抑制されることから、睡眠・覚醒リズムが遅れ、入眠が妨げられることが報告されている、とされています。
寝ている間は、低い照度の光でも中途覚醒時間を増加させ、睡眠の効率を下げることが報告されており、寝室の照明にも配慮することは重要と考えられる、とも書かれています。さらに、現代社会では夜間に照明の光を浴びることは避けられないものの、日中に光を多く浴びることで、夜間の照明の光による体内時計への悪影響が減少することが報告されており、1日を通して光環境を整えることは良質な睡眠を確保するために重要、とまとめられています。高齢者は夜間にトイレに行くことも多いため、転倒しないように間接照明や足元灯などを活用し、眼に入る光の量を減らす工夫が重要、とされています。
2. 温度と入浴
ポイントとして、「寝室は暑すぎず寒すぎない温度で、就寝の約1〜2時間前に入浴し身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる」と書かれています。
本文では、夏の寝室の室温上昇時に、睡眠時間が短縮し、睡眠効率が低下することが実生活下の調査によって報告されており、夏の寝室はエアコンを用いて涼しく維持することが重要と考えられる、とされています。冬については、十分に寝具を用いることで寝床内が暖かく維持された場合には、睡眠への影響は少ないと考えられる一方で、就寝前に過ごす部屋の室温が低いと入眠潜時が延長することが示されていることから、冬季は就寝前にできるだけ温かい部屋で過ごすことも重要だと思われる、と書かれています。
さらに、夜中にトイレへ行く場合や早朝起床時に、急な寒さにさらされることへの注意も書かれており、WHOの住環境ガイドラインは冬の室温を18℃以上に維持することを推奨している、と紹介されています。
3. 音の環境
ポイントとして、「できるだけ静かな環境で、リラックスできる寝衣・寝具で眠ることが良い睡眠につながる」と書かれています。
本文では、寝室内で測定した騒音が、睡眠効率の低下などと有意に関連したことから、静かな睡眠環境の確保が重要と考えられる、とされています。欧州WHOガイドラインは夜間の屋外騒音を40dB未満とすることを推奨していること、屋外の騒音が気になる場合には、十分な防音機能をもった窓や壁を設置して騒音を遮ることも重要と考えられることも書かれています。
4. 寝衣と寝具、就寝前のリラックス
寝衣・寝具については、上のポイントにあるとおり、リラックスできるものを使うことが良い睡眠につながる、とされています。また、就寝前のリラックスについて、寝床に就く前に少なくとも1時間は家事や仕事、勉強に追われずリラックスする時間を確保することが有効、と書かれています。一方で、全ての人に効果が保証されたリラクゼーション法はない、という注意も添えられています。
| ポイント | ガイドに書かれていること |
|---|---|
| 光 | 日中は日光を浴びる。寝室にスマホ等を持ち込まず、できるだけ暗く |
| 温度と入浴 | 暑すぎず寒すぎない温度。就寝の約1〜2時間前に入浴 |
| 音 | できるだけ静かな環境 |
| 寝衣・寝具 | リラックスできる寝衣・寝具 |
自分の寝室を見直す手順
ここからは、ガイドのポイントをもとにした、この記事の提案です。
夜、寝る姿勢で部屋を見る
寝室の明るさは、立って見たときと、横になって見たときで違って見えます。夜、照明を消して布団に入り、目に入る光を確かめてみましょう。家電の表示ランプ、カーテンのすき間、廊下の明かりなど、意外な光に気づくことがあります。
スマホの置き場所を決める
ガイドには、寝室にはスマートフォンやタブレット端末を持ち込まないことが書かれています。目覚ましにスマホを使っている人は、置き時計を用意して、スマホの充電場所を寝室の外に決めておくと、続けやすくなります。
温度を数字で確かめる
「暑すぎず寒すぎない」は感覚で判断しがちです。寝室に温湿度計を置いて、夏と冬それぞれの就寝前の室温を何日か記録してみると、エアコンや寝具の調整の目安がつかみやすくなります。冬は、寝室だけでなく、夜中に通るトイレまでの廊下の寒さにも目を向けてみてください。
入浴の時刻を逆算する
就寝の約1〜2時間前に入浴するには、寝る時刻から逆算して、お風呂の時間を決めておくことが大切です。たとえば23時に寝るなら、21時から22時ごろに入浴を済ませる、という形です。
足元の明かりを用意する
夜中に起きることがある人は、まぶしすぎない足元灯をベッドから出入り口までの通り道に置くと、明かりをつけずに移動しやすくなります。ガイドでも、高齢者の転倒を防ぐために、間接照明や足元灯などを活用することが書かれています。
朝の光の入り口をつくる
夜の暗さを整えるだけでなく、朝の光を取り込む準備もしておきましょう。起きたらすぐにカーテンを開けられるよう、カーテンの前に物を置かない、窓際のベッドなら手が届く位置にカーテンの端を寄せておく、といった小さな工夫が役立ちます。
寝る前の1時間をつくる
寝る前の少なくとも1時間を、家事や仕事に追われない時間にするには、翌朝の準備を夕食後すぐに済ませておくなど、順番を入れ替える工夫が役立ちます。ゆっくり過ごす方法は、人によって合うものが違うので、自分が落ち着けるものを探してみてください。
| 見直すこと | この記事の提案 |
|---|---|
| 光 | 寝る姿勢で目に入る光を確かめる |
| スマホ | 充電場所を寝室の外に決める |
| 温度 | 温湿度計で就寝前の室温を記録する |
| 入浴 | 寝る時刻から逆算する |
| 夜中の移動 | 通り道に足元灯を置く |
寝室づくりの道具を選ぶヒント
ここも、この記事の提案です。
遮光カーテン
街灯や朝の光が気になる場合は、遮光カーテンが選択肢になります。ただし、ガイドでは起床後に朝日を浴びることも勧めているので、朝はカーテンを開けて光を取り込む習慣とあわせて考えましょう。
寝衣
ガイドでは「リラックスできる寝衣」と書かれています。締めつけの少ないもの、季節に合った生地のものなど、自分が楽に感じるものを選びましょう。
窓まわりの音
外の音が気になる場合、ガイドでは防音機能をもった窓や壁で騒音を遮ることにも触れています。大がかりな工事の前に、まずは窓を閉めたときと開けたときの音の違いや、どの方向から音が入ってくるのかを確かめておくと、対策を考えやすくなります。時間帯によって音の大きさが変わることもあるので、寝る時刻に近い時間に確かめてみてください。
置き時計
スマホを寝室に持ち込まないなら、置き時計が必要になります。夜に文字盤が光るタイプは、明るさを調整できるかどうかも確かめておくと安心です。
睡眠ガイド2023の寝室環境Q&A
成人の睡眠時間の目安は?
成人版の推奨事項では、適正な睡眠時間には個人差があるが、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する、とされています。
寝室の温度は何度がいい?
ガイドのポイントでは「暑すぎず寒すぎない温度」とされています。冬については、WHOの住環境ガイドラインが冬の室温を18℃以上に維持することを推奨している、と紹介されています。
お風呂はいつ入るといい?
就寝の約1〜2時間前に入浴し、身体を温めてから寝床に入ると入眠しやすくなる、とされています。
眠れない状態が続くときは?
成人版の推奨事項では、睡眠の不調・睡眠休養感の低下がある場合は、病気が潜んでいる可能性にも留意する、とされています。気になるときは医療機関に相談してください。
睡眠ガイドを参考に寝室を整えよう
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」には、光、温度と入浴、音、寝衣と寝具についての環境づくりのポイントがまとめられています。今夜、寝る姿勢で部屋の光を確かめるところから、自分の寝室を少しずつ見直してみてください。